楽しい楽しいFediverseライフ2023

当エントリは Fediverse Advent Calendar 2023 (1) 10日目の記事になります。
9日目の記事は『Fediverseと過ごした1年弱の話 - 居心地の言いインターネットを模索するということ - 』でした。すごく、すごーく、分かる部分がたくさん。

さて、今年もあっと言う間に師走。もう終わってしまいますね、早いもんだ。
一年で最も忙しいとされる時期に、こんな記事をご覧になってくださった皆様。どうもありがとうございます。

初めましての方々に向けて少し自己紹介をば。
Fediverseでは「とーます・らむだきー」とか「TLC」とか名乗っている者です。元々「とーます」と呼ばれることが大多数だった身でしたが、一昨年音屋としての活動を始めて以来「TLC」と呼ばれることもちらほら。
……とまあ、こんな自己紹介をAdC記事ではいつも前置きとして書いてきたんですが、今年は本当に状況が変わりましたね。例年「Twitterでは〜」としていたのが、よもやこんな転換を迎えるとは。

それもこれも、在りし日のTwitterを思い起こす居心地の良さが今Fediverseにあるおかげなんです。しょうがない。
Twitterを離れてFediverseに戻ってきた経緯は今年頭のブログ記事に書いていますが、こっちはストリーミング可能な環境(=リアルタイムで流れてくる投稿を閲覧できる) が当たり前のようにあるし、マルチカラムでハッシュタグつき投稿を振り分けて眺められるし、ふぁぼはふぁぼだし。
また、ボクがしょっちゅう利用しているMastodonサーバのFedibirdはプレーンなMastodonではなく様々な機能が追加されており、Fediverseを構成する著名なサーバ / ActivityPub (以下AP) 実装の中でも使いやすさは高いほうだと思っています。
2017年春、国内で最初にMastodonが流行り出し、ボク自身も自分でサーバ (当時はインスタンスと呼ばれていた) を立てた頃を思い出すと、AP実装も栄枯盛衰を繰り返しながら、Fediverse全体を見れば着実な発展を遂げてきたのだと感じるばかり。ボクが戻ってきた今年だけでもその傾向ははっきりと見えていて、Twitterを追われたり嫌気が差したりした個人や企業の開発者の方々も続々とこちらに参入してきました。

そんな感じで、今後もますますFediverseは使いやすくなっていくことでしょう。当記事では、そのFediverseで今年どんなことが起こったのか、個人的に印象深い出来事を振り返っていきたい。
注意点として、気づいたら旧Twitterに対する不平の記述も一定の割合を締めてしまっていました。気分の良いモノではない箇所もあると思いますので、ご了承いただければ。

Fedibirdにアカウントを生やした日

1月26日。Twitterを見るに当たって気紛れに使い分けてきたサード製クライアントたちがAPI刷新の影響で立て続けに使えなくなり、とうとうボクはTwitterの常用を止める決心がつきました。
実際のところボク個人は当初、昨年時点ではあの実業家による買収をどちらかと言うと期待して見ていた側でして、評価した施策もほんの少しだけあったりしました。が、まあ現在の状況を見るとそんなのは今更上げる気にもならない。
それに今年頭の記事でも書いていた通り、そもそも昨年どころかずっと以前から公式クライアントも軒並不親切で、UIが野暮ったく (特にスマホ版) 、検索機能もどんどん改悪され、それなのにTLには無用な広告やハイライトなどが入ってくる。こんな代物を使う選択肢なんて端から存在しませんでした。

翻ってFedibirdは、前述の通り豊富な機能をもっています。
本流のMastodonと共通の機能として、プロフィールから他サービスへの動線も複数かつ見やすく張れたり (補足情報の機能) 。
アカウントの鍵設定と別に投稿の公開範囲も個別で指定できたり。
注目のハッシュタグ機能でよく使うタグへのアクセスをしやすくできたり。
Fedibirdの拡張機能としては、MisskeyやPleroma (及びそのフォーク) などと互換性のある絵文字リアクションが可能であったり、時間指定投稿を行えたり。プロフィールの補足情報・投稿の公開範囲・ハッシュタグなどは本家と比較して多く設定でき、UIのカスタマイズ性も高い。
またもう1つ大きな特徴として、LTLが排されている点も欠かせません。これはユーザによって長所と短所のどちらにもなりそうですが、少なくとも個人的には長所だと思っていて。というのも、LTLが存在するサーバでは、LTLを前提とした交流を行う必要がある空気感が暗黙のうちに出来上がってしまっている印象があり、これが非常に縛られる感を生み出していて息苦しい (し、連合の根幹にある魅力とも逆行している気がする……) 。
ここら辺、今のFedibirdはハッシュタグ#fedibirdをLTLの代替としており、デフォルトで自分一人の文脈による投稿をしつつ、必要とされる場合にのみ交流目的の投稿を行いやすい環境になっています。

長々と書いてきましたが端的に言うと、Fedibirdはめちゃくちゃボクの性に合っている
“見てくれる人がいるならそれはそれで嬉しいけれど積極的に見てもらいたい程でもない投稿” = 漫画やゲームの評価・考察などを自分のペースで流す自由が一番感じやすいし、HTLより少し幅広く交流したくなったり創作物を自慢したくなったりしたらハッシュタグを使えば良い。#fedibirdタグも皆あったかいし!
少し変則的なところでは、”近いうちにやらなければならないことを公開範囲「自分限定」で” “その少し前の時刻に投稿されるよう予約設定しておく” なんてこともします。これはFedibirdだからこそ出来る芸当ですね。
ちなみに後述しますが、Twitterの頃から深い交流のあった仲間内でも、Mastodonサーバの中でLTLの存在しないFedibirdは比較的好評な様子。

そんな感じで、普段はtlc@fedibird.comにて色々と呟いております。
いやはやいつも楽しく使わせていただいており……本当にありがたや。

本拠を置いた日

こういった経緯で作ったFedibirdのアカウントにて、Twitter初期と同じような便利さを享受しながら過ごしていましたが、やっぱり自分のサーバももっておきたいという考えは根強くあり、お一人様サーバを立てたのが2月15日。ボクはいつもここを “本拠” と呼んでいます。

とりあえずこぢんまりとやりたくてPleromaを立てましたが、フォークでありカスタム絵文字でのリアクションも可能なAkkomaを知ってすぐに乗り換えました。
こちらは今のFedibirdと異なる優位性もあり、絵文字リアクションをたくさんつけられます。Fedibirdも2つまでつけられますが、本拠から3つも4つも5つもつけてFedibirdで懇意にしている方からちょっと羨ましがられたこともあったり。
(尚、Fedibirdも設定次第で上限を増やせるものの、今の規模を考慮すると負荷が大きすぎるとか何とか。まあそりゃそうだよなあ)

Akkomaは他にもMarkdownやMFMに対応していたり (使ってない) 、必要なモノも一通り揃っている感じ。
ストリーミングがちゃんと機能してないみたいだとか、気になる点もないワケではないですが、そもそもどちらかと言うと閲覧目的よりも発信目的が大きく、Fedibird以上の気ままさで漫画やゲームに対する厳しめな路線の評を連投したり、唐突に叫びたくなった時の奇声を文字列として投稿したり、そんなのばっかりなので、あまり問題に思ってはいません。どうしても不満が無視できなくなったら別のに乗り換える自由もあるし!

いい加減で良いところはいい加減でも、自分で管理できる拠点をもっておくのは大事。
本拠と言いつつさほど大っぴらにはしていませんが、Twitterの頃から深い話ができている人たちやFediverseで見かけた方が興味をもってくださる分にはありがたや。

サード製クライアントのテスターに参加表明した日

こちらも今年頭の記事に書いていましたが、ボクはfeather for Twitterを重用していました。そんな身にとって、feather for Mastodonの開発発表はとても嬉しかったもの。
テスターの活動をちゃんと続けられるか懸念もありつつ、一足先に使いたい念のほうがそれを上回り、3月16日にとうとう参加希望を出しました。
着々と機能が増えていき、今ではボクがMastodonを使う上で申し分ないクライアントとなっています。その上絵文字リアクションなど拡張機能への対応もあり。こちらも後述しますが、featherが開発されたおかげでiPhoneユーザの友人をFedibirdに引き込めもしたり。ありがたやありがたや。

尚正式版のリリースからだいぶ経ち、幸か不幸か目立ったバグにも遭遇しなくなったのもあり、ここ4ヶ月程は何も書き込みできていません。すみません…… (小声)

旧Twitterの制限が (一時的に) 強まった日

7月2日、旧Twitterでは600ポスト/dayの閲覧制限がかかりました。永続してれば良かったのに
これを機に仲間内でも旧Twitterを離れる動きが再燃しまして、元々Misskeyサーバにアカウントを持っていた人たちがこっちに来て再稼動したり、ボクも新たに何人かをFedibirdへ招待したりしました。
「LTLが面倒臭いからMastodonはちょっと……」と言っていた知人にFedibirdの話をしたら食いついてきたのとか、ついついしたり顔になる出来事も。

またそれからしばらく後には、一度Fediverseに来たことがある方から「スマホで使えるアプリがあれば顔を出しやすいんだけどなあ……」と相談を受けたりもして、ここぞとばかりに薦めたのがfeather。
その方も使いやすさに納得した様子でした。ありがたやありがたや。

まあ、閲覧制限が一時的なモノだったようで、ほとんどはまたあっちに戻っていったんですが……
そんな中でも時折こちらに顔を出してくる人はちらほらいますし、「常用するならFedibirdのほうが確かにイイ!」と感じた友人もおり、旧Twitterを使わざるを得ない今の活動が一段落したらまたFedibirdを使いたいと話していました。
言質、取ってますからね……?(その人に向けて) (多分本人はこれを見てない)

Vivaldi Socialにアカウントを生やした日

同じく7月2日。Twitterからの移転先としてFedibird以外の有力候補の1つだったVivaldi Socialにも、ボクはアカウントを作っていました。ボクはVivaldiユーザなので自然と検討していた流れですが、ユーザでない方も割といるらしい。
前述した通り、個人的にLTLの存在自体が疲れへと繋がる部分もあるため、常に顔を出しているワケではないものの、ご飯画像はよくあちらへ投げています。
また、ボクがLTLに疲れを感じがちな性分であるだけで、Vivaldi SocialのLTL自体は#fedibirdに負けないあたたかさ。新規の方が来れば歓迎の投稿で溢れ返ったり、ご飯画像には「nice ビバ丼」などと反応されたり。
関心のある方やLTLがあったほうが面白そうと感じる方に、あるいはVivaldiユーザの取っかかりとして、オススメしたいサーバの1つでもあります。海外サーバである関係上留意すべき点も色々あるものの、日本人の方が不思議と多いのも特徴。
ボクはご飯画像を投げる他、プレーンなMastodonの (延いては古き良きTwitterに由来する) 純然たる面白さを再確認する目的でも時折顔を出しています。

旧Twitterの民をFediverseに引き込みやすくなるのかと目が離せなかった日

さて、旧Twitterの目指す方向性が狂いすぎてあんまりな分、相対的にまだマシと思えてくるのがMeta社のSNS。その中でも7月6日にリリースされたThreadsには1つ言いたい。

早く予告通りAP対応してよ!!!頼むから!!!!!!!!

<18日追記>
14日にとうとう、ようやく一部 (現状開発者のアカウントでのみ) AP対応が始まったようですね。
機を逸した感は否めないとも思いつつ……それでも良いことなのは違いありません。
全アカウントが対応したら人を呼び込む際の選択肢として提示したい。
<追記ここまで>

ブログを更に改良し始めた日

全くAP対応の兆しがないThreadsを尻目に、11月1日には、ボク個人のブログを直接APにでも繋げたろかと考え始めました。
理由は単純明快、ちょうどこのFediverse AdCの情報が流れてきたから。
それから、WordPressのAP対応が手厚くなったのも動機として大きいものでした。 ボク自身はPHPにアレルギーがあるのでWordPressを使ってはいませんが、その代わりとして自前でAP実装を書き始めた感じ。 お誂え向きに、今年ActivityPubまとめwikiなんてのも出来たようで。この辺の知識は元々あまりなかった身にとっても、非常にありがたや。

とは言え、ボクのブログも設計の再検討に気を取られてまだ直接APに繋がってはいません……投稿も認識されず、フォローなどのアクションはいずれも完了しない状態。 ただ、アカウントとしては表示されると思いますので、ご興味をもたれた方はご利用のAP実装で “blogger[at]s6jr.com” と検索欄にでも入力してお試しくださいませ。
(最低限MastodonとPleroma、及びそのフォークからは認識されるハズ)

Fediverseの可能性について話した日

ブログのAP対応が進んでいない理由の1つとして、他の趣味である創作活動もしばらくやりたいことややるべきことが重なっている状態だったんですが (言い訳) 、その関係でコミティア146に出席していた12月3日。
「ティアに参加されている他のサークルさんが、Fediverseにも何方かいらっしゃらないだろうか (どんな方がいらっしゃるだろうか) 」と思いいざ探してみたところ……
結構見つかりましたね、これが。特に絵師さんは一年程でMisskey.ioに動いた方が想像以上に多いようで、なかなか感動的。

更にその中で「おっ」と思ったのは、Fediverse AdC 2023 (3)2日目 も担当された、暦の擬人化漫画を描かれている松浦はこさんの宣伝。
元々TLにしばしば漫画が流れてくるのを拝見していた他、以前Fedibirdを利用されていたところからお一人様サーバを立てられた共通項もあり、スペースに伺った際「Fediverseで拝見しまして……」とお伝えしたところ、ついその関連で話が弾んだり。
(ちなみにボクが一方的に存じていただけで、言うまでもなく初対面だったのに、普通に楽しくお話させていただいて初対面の感じがしませんでした。あたたかく応対していただき感謝しかない……)

これも今年頭の記事で書いていたことですが、ボク自身まだまだ宣伝の類はTwitterがメイン。
しかし他方で、同人のみならず商業で活動されている作家の方々もFediverseに一定数いらっしゃる事実は、なかなか大きいモノです。
宣伝の効果を上げるには、人口の増加も不可欠。だからこそ新しい方が来られれば嬉しいし、「Fediverseについて長々説明するよりとりあえず招待しよう」とよく言われるようになったこともあり、ボク自身も興味をもった方は積極的に誘うようになりました。
あるいは様々な事情でお一人様サーバを立てたいと感じる方に対しても、解説記事はどんどん充実してきていますし、専用のホスティングサービス (HostdonやMasto.Host) もあります。
何も創作に限ったことではなく、様々な個人・団体が積極的にFediverseへ参入してきてほしい。3DCGでお馴染Blenderを開発するBlender FoundationがYouTubeを出て、AP対応の動画共有サービスであるPeerTubeサーバを始めたように、それがMastodonである必要もありません。何てったってここは共通のプロトコルにさえ則ってさえいれば繋がれる空間、Fediverseですから。

Fediverseのこれからについて

こんな感じでFediverseに戻ってきてから様々な出来事があった1年。
やれFediverseはTwitterの代わりになるだのならないだのという話を方々で目にしますし、それに対してボクも言いたいことは色々ある (MastodonなんてそもそもがAnti-Twitterとして開発された側面をもっているから……) んですが、少なくともボクの求めているモノが旧TwitterではなくFediverseにあるのは確か。
結局ボクは自分の意のままに行えるリアルタイムなやり取りを楽しく感じているから、Fediverseで気ままに繋がるんだと思います。その筆頭として嘗て用いられていた「ふぁぼ魔」なる概念などは今こちらで再興を迎えていますし (私見) 、あるいはリアクションシューティングへ形を変えて発展を遂げてもいます (私見) 。
大転換期を迎えた2023年でしたが、そういった楽しい営みや、「喜びを人に分かつと喜びは二倍になり苦しみを人に分かつと苦しみは半分になる」そのためのアクションを気軽に実践できる空間を、これからも大切にしていきたいものです。

ここまでに入れられなかった (あるいは最初から入れる気のなかった) 余談

ボク自身、今回の記事では “繋がる楽しさ” を強調してきましたが、常に繋がっているとも限りません。ちょうどFediverse AdC 2023 (2) 9日目の記事でも近似する話がありましたが、ボクはそもそも時折繋がりを出来る限り断つ期間を設けないとMPを回復できない部分があります。
疲れた時はいたずらに神経を尖らせず済ませるために、情報を遮断するのも大事 (個人談) 。用法を守って、より楽しいFediverseライフを送れますよう。

それから何のきっかけで読んだかは忘れたんですが、今回のAdC (3)で明日11日を担当されている玉城環さんが昨年書かれたFediverse AdC 2022 (2)11日目の記事『いっそ0円おひとりさま鯖でFediverse始めてみませんか』は初見の際つい笑ってしまい、こんなことをされている方もいらっしゃるんだなあと興味深く感じましたので、1年越しになりますがここでシェアさせていただきたく。

最後に、2020年から毎年Fediverse AdCを企画されており、ボクもお世話になっているFedibirdの開発・サーバ運営を行っていらっしゃるのえるさんへ、この場をお借りし感謝を。
そしてFediverseで縁ある皆様、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

Written on December 10, 2023