優しい世界の観測者たれ:『しょうこセンセイ!』に照らし出された人たち
その女の子、8歳にして――
工学、物理、化学等々を修める――
キュートで立派な高校教諭である。
ホントにかわいいな……
人間の成長とは言わずもがな美しいモノです。
であればこそ、かくも癒やしを与えてくれる女の子の成長となると、一層愛らしくて悶絶せずにはいられない。
それが『しょうこセンセイ!』だ!
さあ、まずはきららベースで試し読みを。
そしてAmazonへジャンプ!
というワケで、昨日ツイートした通り有言実行。
まんがタイムきららMAXにて連載中、本日4月25日発売『しょうこセンセイ!』1巻+αのレビューです。
しれっと書き下ろしや14話のネタバレもありますので、もう追っ掛けてるけどまだその辺全部読めてないんだよねーって方はご注意ください。
なお、本記事に限らず、ボクは主人公「吉田翔子」を「しょうこセンセイ」と表記しています。
一方本記事で漫画としての本作自体は「『しょうこセンセイ!』」と表記します。
主人公の呼び方を徹底しているのには理由がありまして、その一端も後ほど。
あらすじ
公立皐月高校入学式
私たちの担任として紹介されたその人は
小さな女の子でした
1話冒頭より
若くして高校教諭となった天才こども・吉田翔子のほっこりキュートな奮闘記!
きららMAX掲載時のあらすじより
小さくて、可愛くて、勤勉で、よく出来たセンセイ
そんな人物が、しょうこセンセイ。
大人である先生たちのアドバイスを熱心に聞き、
小テストともなると、疲弊してでも教え子たちを見守り、
常に生徒の視点に立つ努力を怠らず、 その結果、生徒たちからもしっかり人気と信頼を獲得するに至る。
教師の鏡だと思いませんか。
そして、本当に魅力的だと思いませんか。
しょうこセンセイとお母さん
一方で、しょうこセンセイもやっぱり8歳。
とりわけ家に帰れば1人の子供に他なりませんし、随所にお母さんの影響が見られます。
夕ご飯が大好物のハンバーグだと聞けば大喜び。
初任給でお母さんへドライヤーを購入(の上魔改造)してプレゼント。
トレードマークのリボンや白衣は、逆にお母さんから受け取った物。
しかしそのお母さんとは何と、1巻終盤で離れ離れになります。
ずっとお互いを思って暮らしてきた吉田親子は、それに対していかなる姿を見せるのか。
こういった母子の物語も本作の魅力です。
さて、ここで改めて。
ぜひ『しょうこセンセイ!』を読んでみてください。
そこは癒やしのみならず、優しさや感動にも満ちてます。
ボクは13話で、「『しょうこセンセイ!』を読んでよかった」「しょうこセンセイに出会えてよかった」「しょうこセンセイかわいい」と心から感じました。
何で最後にしょうこセンセイかわいいが来るんだよ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ネタっぽいですが、これはネタの類では全くありません。
そしてその答えは明白です。
1巻分のエピソードを全て読み切った後の「しょうこセンセイかわいい」は圧倒的に深みが違うから。
ほっこりキュートな奮闘記には、可憐に頑張る1人の人間の姿がしっかりと描かれているから。
ちなみにこの一貫したしょうこセンセイ呼びも、1巻終盤における一連の事件を経てからの「(私は)しょうこセンセイ!ですから!」と声を高らかにした宣言に由来します。
ボクと同じようにしょうこセンセイ呼びに徹する読者も増えてほしい。
……何だかもうこれで記事を締められそうな気がしますが、『しょうこセンセイ!』にはまだまだ語っておきたいポイントがあります。
中でも特に大きいのが、次。
しょうこセンセイは個性豊かなみんなを見守り、また見守られてもいる
そうだね。
坂下さん、相場さん、佐々木さん、最上さん、四宮さん、加藤さん、池田さん、宮子さん、立花さん、結さん、矢野さん、藤堂生徒会長、矢野さん、たくさんの生徒と向き合って。
奈央ちゃんや小夜ちゃん、ローゼスちゃんと仲良しで。
山田先生や余市先生、宮城先生に井伊校長、そしてローゼス先生がいて。
しょうこセンセイは教え子や友達を見守ってるし、先生たちにも見守られてるね。
優しい世界だよね。
……で、終わらないのが『しょうこセンセイ!』の特筆すべき点。
8話で宮城先生に言及された通り、しょうこセンセイは努力する勤勉な人物であるゆえに生徒からも気にかけられ、見守られているのです。
しょうこセンセイが転んだとなれば生徒たちの華麗な連携プレーによって応急処置を受けるくらい。
(ちなみにしょうこセンセイ本人はこういう向きの一部に「教師だと認識されていない」とショックを受けて問題提起していたのもまたミソ)
そして、記念すべき1巻を経ての14話もここに繋がる側面があります。
お母さんとの別離を経たしょうこセンセイの元に現れるのは、新たな大人たち。
しょうこセンセイの下宿先に住まうこの大人たちもまた実に個性的で、ずぼらだったり、飲んだくれだったり、燻っていたりして。
しっかり者でもあるしょうこセンセイは、そんな大人たちと関わる中で「学校の生徒達よりも手がかかるっ……!!」と心中で本音をポロリ。
しょうこセンセイについて語る上で、この一幕は絶対に外せないポイントだと思うんです。
だって、先生と言えども子供であるしょうこセンセイが、大人たちを見守る立場をも得た事実が明らかになった瞬間です。
新たに見えたこの一面、スゴいとしか言いようがなくないですか?
『しょうこセンセイ!』は第2のスタートである回を、ドタバタして面白いだけでなく、興味深くて意義深くもあるエピソードで飾ってくれたというワケ。
更なる成長を予見させるしょうこセンセイに、そんな彼女を中心としてこれでもかとたくさんの人物を描き出して照らし出す『しょうこセンセイ!』に、今後も目が離せません。離せませんとも。
離せるワケがないじゃありませんか。
終わりに
作者・なじみ先生も、しょうこセンセイを動かすのではなくしょうこセンセイが動くのを見守っている、
とお話されていたこととか、ミッシェルとかについて触れる箇所が見出せなかった……
あと矢野さんもカラーで出てきてほしい……
<2019/6/26追記>
と、願っていた矢野さんですが、なじみ先生がツイッターにて登場人物の紹介や短編といった形でカラーの矢野さんを投稿してくださっています。やったぜ。
尚、上述した矢野さん以外にも個性的な面々が揃っていて、もちろん紹介もされていますのでそちらもぜひ。
<追記ここまで>
加えてボク個人としては、ローゼスちゃんがこの先どんな振る舞いを見せるかを特に楽しみにしています。
しょうこセンセイの学友でもあり、子供でもあり先生でもあるローゼスちゃん、2人は最も近い立ち位置と言っていいハズなので。
<2019/6/28追記>
先生方の紹介が投下されて驚愕のあまり引っ繰り返りました。
初登場回から(子供っぽい振る舞いに似つかわしくない物分かりの良さをしょうこセンセイばりの天才肌だと捉えて)しょうこセンセイより少し年上、11歳くらいかなーと思っていたのがまさかのピッタリ2倍。
14話に少なくとも成人していたことが分かる描写が仕込まれていたのをうっかりスルーした結果がこのザマなので、衝撃の痕跡は敢えて残しておきます。
しかし今後の呼び方はちゃんとローゼス先生で統一するか、そうでなければローゼス姐さんくらいか……
<追記ここまで>
それはさておき、ツイッターのヘッダーにも描いちゃうくらい好きなしょうこセンセイとローゼス先生、ぜひ互いに影響し合いながら奮闘してほしい。
そんな幾多の可能性にも溢れた『しょうこセンセイ!』。
ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。