battlecry

最近、ボクは久々に今まで聞いたことのある楽曲へ立ち返りたいのに立ち返れない状況にありました。正確には「あっ今この曲を聞きたい瞬間だ」と感じた記憶が、次の瞬間には跡形もなく立ち消えてしまって。

以前『蒼い鳥』という楽曲についてこんな感じで少しだけ筆を取ったことがありますが、気分的にはその曲を聞きたくなる時に近く、でもそれとまた違った感覚に埋もれていたのも確かで。
ゲームをしたり、ブログを書いたり、用事で出かけたり、食事を取ったり、お風呂に入ったり、ここ数日そんなことをしている間もずっと頭の片隅にあった「ボクが今思い出したい、聞きたい楽曲は何なのだろう?」という疑問。
その答え……だったか上手く思い出せませんが、今のボクにぴったりとハマる楽曲と、記憶の外側で思わぬ再会ができたのです。

今は自分からあまり喋る気にならなくても、多少のエネルギーを消費してでもリアルタイムで人の声を聞いているべきだ、と考えて接続していたとあるコミュニティの中で、ふと聞こえてきたキーワード『Nujabes』『サムライチャンプルー』。
「あ、これだったかもしれない!」と気づくや否や、考えるより早く手持ちの音源を探し出し、再生していたのが『battlecry』でした。
活躍の真っ只中であった時期に非業の事故死を遂げてしまったトラックメーカーNujabesが手がけた、2004年放送のアニメ『サムライチャンプルー』OPであるこの楽曲にも、ボクは並々ならぬ思い入れを抱いています。

ある日、またある夜、ある者は生き抜き、またある者は死を迎える。サムライの名前と流儀の元に。
そんな当たり前の諸行無常を、当たり前として熱くも冷たくもならず、淡々と語るように歌っていく。
こういった詞と曲の温度感にこそ、ボクはぬくもりを感じることがあるものでして。
挫けた人がいたとして、それをいたずらに励ますこともなく、更なる追い討ちをかけることもなく寄り添うのは、とても難しいと思う。
でもボクはそれをやってのける音楽があるのを知っているし、そういう音楽こそ長い付き合いをしていけるモノだったりもする。
自分に語りかけてくる「音」を聞き入れ、今まで自分が為してきた功の面を見つめ、罪の面を背負い、自分に相応しい報いとしての幸不幸を受け止めて行こう。
そう思わせてくれるのがきっと、ボクにとっての『battlecry』なのだろうなと思っています。

Written on December 18, 2022