素敵な家族であるために:『スローループ』=人×釣り×人

何を思ったかスローループの試し読みして「あっこれ刺さった……何で刺さった……?今創作の実在感にアプローチかけまくってるから……?魅せ方はもとより食まで絡んでこのアウトドアつっよい……」ってなってる

2ヶ月年下のちょっと不器用なローテンションガールと2ヶ月年上の悲しいくらいに器用すぎるハイテンションガールが予期しない形で織り成すことになった姉妹の形、そしてそれを取り巻く家族の形、これらを「全ての家族の宝」と呼ばずしていったい何と呼ぼうか?いや他の呼び方候補なんて自分には全くありませんね

何を思ったか、この記事のリンクを踏んでくださった皆さん。
これが『スローループ』だ

1巻表紙(まんがタイムきららWebより)

これが『スローループ』だ!

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そんなワケで、本エントリはスローループ1巻+αのレビューです。 ここまででもうこの作品が気になったという方。
あらすじでも、 試し読みでも、(いるかは知りませんが)後述するボク自身の 1話感想1話分析でも、 どれでもいいので触れてみてください。
もちろん確実なのは試し読み。ボクもこれでいきなり陥落しましたので。
試し読みをすれば、絶対に続きを読みたくなるハズです。

とは言え実は、どうレビューを書けばこの記事をご覧くださっている選りすぐりの方々に本作を手に取ってもらえるか、非常に悩んでいまして。
というのもMAX掲載の某作品で昨年のきららAdCに参加しておいて、まあボクの記事への反響がなかったのは別にいいんですが、その作品があろうことか3乙になってしまったのを未だにちょっと悔やんでいるので、本格的に「読みたい!」と思ってもらえるようなレビューの形態を考えようと思っているのです。ああもうこういう話は下書きに置いとけ全く

そんなこんなありまして最終的に、『スローループ』知らないよって方も、単行本買ったよって方も、フォワードで読んでるよって方も、皆さんが楽しめるエントリにしたいと思っています。

あらすじ

「なんか、最近、釣りが楽しい…」

海辺でひとり、亡き父に教えてもらったフライフィッシングを嗜む少女・ひより。そんな時に出会ったのは、母親の再婚相手の娘・小春で…?

ひょんな出会いから「姉妹」になった小春とひよりと一緒に、「釣り」をしながらスローに過ごしてみませんか?

まんがタイムきららWebより引用

主な人物

  • 海凪ひより (みなぎ - ) / 旧姓: 山川 (やまかわ)
    実の父親を亡くした少女。ちょっと不器用で引っ込み思案気味な釣り好き。

  • 海凪小春 (みなぎ こはる)
    実の母親と弟を亡くした少女。悲しいくらいに器用で、割と面倒くさいところも。

  • 吉永恋 (よしなが こい)
    ひよりに後ろめたい思いを抱えながらも、幼馴染として接する少女。自由すぎる釣り人の父親とはあまりそりが合わないよう。

  • 山川信也 (やまかわ しんや)
    今は亡き、ひよりの実の父親。恋の父親と釣り仲間だった。

  • 海凪ひなた (みなぎ - ) / 旧姓: 山川 (やまかわ)
    ひよりの実の母親。

  • 海凪一誠 (みなぎ いっせい)
    小春の実の父親。

1話を読んだときはこんな感じだった

とりあえず、試し読みにおける[ページ数]-[コマ数]のフォーマットで、特に印象深いコマに対してのコメントをプレーバック。☆は作劇視点でもピックアップしたいポイントです。
単行本持ってるけど見るよ、って方はページ数に2足してね。

1-1: ☆ああよかった、2大テーマ(「釣り」「家族」)がどう結びついてるか一発で分かる。

1-2: 目玉焼きにポン酢……○光子郎か……?

6-1: 春先の海に水着で……今度は桜内○子か……?

11-6: ☆実際の釣りを知らない小春から垣間見える一般人ぶり1。こういうところで台詞が上手だと登場人物の生の感性がそのまま伝わってくるんだよな。小春がどや顔かわいい。

13-1: ☆実際の釣りを知らない小春(略)2。ここだけ見るとアホかわいい。

13-4: ☆実際の釣りを知らない小春(略)3。しかしなぜひよりがしょげる。かわいい。

14-1: ☆実際に釣りをしているひよりの成長余地1。主人公であるならばこそ大きく変化する部分が一番必要なワケで、説明役も未知の事項を抱えていることは欠かせない。赤い顔で小声のひよりかわいい。

17-1: ☆実際に釣りをしているひより(略)2。

19-3 ☆実際の釣りを知らない小春(略)4。ばっさりかわいい。

20, 21-1: 見開き。読者視点でもその高揚感たるや。

20, 21-2: 共同作業とは言え初めて生きた魚を捕えた小春、その感動は筆舌に尽くしがたいよね。

24-1: ☆釣って捌いた魚を2人が食べる一幕。丁寧に描写できた分だけ登場人物の生の実感を高める、食事のシーンを1話でちゃんと描く細やかさ。しかもまた小春がかわいい。

25-3: ☆釣り以外の部分におけるひよりの成長余地。ここでもやっぱり小春がかわいい。

26-3, 4: ☆ひよりと小春の相補性。噛み合ってるこのデコボココンビ。

30-3: ☆小春の釣りへの染まり具合を「同じ魚を〜」という台詞が如実に示している。

31-1: ガールミーツガールの王道ここにあり。最初のほうのページの感想はホントに何だったのか。

1話のポイントをおさらい

  • ひよりが父親の影響で釣りを覚えたことで、釣りと家族の2大テーマの連携が取れている

  • 釣りを知っているひよりと知らない小春それぞれの感覚、またその感覚のギャップを、2人の実感をしっかり込めて描いている

  • 釣りに関してひよりの知らない知識がある。即ちひよりに関しても成長余地が認められる

  • 食事描写として釣った魚をその場で食べる一幕を(後々でもいいしいくらでも入れる場面はあっただろうと思われるにも関わらず)1話に入れることで、登場人物の実在感を更に高めている

  • 山場を飾る2人で魚を捕えたシーンの躍動感

  • ひよりも小春も本当にかわいい

  • 序盤数ページで何だか別の作品が頭を過ってしまってごめんなさい

1巻を通じての感想、そしてその先へ

実を言えば、「スローループを絶対読んでやる!」と思ったのは、ボクより先に本作を推していたTwitterで近しい仲間に「親側の描写ってある?」と尋ねたところ「がっつりあるよ、2人がもう片方の親に対してどう距離を縮めて家族になるかもこの作品の見所の1つだから」と教えてもらっていたためなんですよね。実際、そういう部分が大きく心を動かしてもきます。上手いし旨い。
小春のほうは実に切ないほど空気を読む振る舞いで、越えるべきではない一線を定めながらひより母も含めて支える気満々。
一方のひよりは2話で小春父への距離感を測り損ね、5話からの釣りキャンプを経て6話では少しながら大きな一歩で歩み寄る。そのリトライにも胸があたたまらずにいられません。
そしてその立役者となっているキーパーソンが、ひよりの幼馴染である人物・吉永恋。本人は自分自身の家庭環境を複雑なモノだと捉えていますが、3話での恋の悪態や最後の1コマを見るに、吉永家は海凪家と好対照を成しています。紆余曲折あってそれだけ(フリーダムな恋の父親を除いて)良好な家族仲に至ったのだと思われる吉永家は、どんな事情があるのでしょう。客観的に見て微笑ましいレベルであれば、やはり個人的にも大好物な良い対照性ですし、重苦しいほどのモノであるならば(ボクの好みからは少し逸れますが)両家の関係性の構造視点でもまた良いと感じられることは大いにあり得ます。ちなみに作者・うちのまいこ先生へのインタビュー(後述)では、後者らしいことが仄めかされているようですが……
そしてもちろん小春とひより、また4話のように小春と恋の関係性の進展にも注目。

さて、ここからは1巻より後の展望みたいなお話。
1話で魚を食べるシーンを見たとき、「釣りと家族の結びつきとしていつか『食卓』も描いてほしいな」と感じていて、そのシーンは2話で早くもやってきたんです。が、それ以上にピックアップしたいのは現時点でのフォワード最新号掲載回である7話。
この回で、天真爛漫な小春の嘗ての孤独が大きく示唆されました。加えて小春とひよりの一時的な(微笑ましい)仲違いを恋も混じえて描き、家族の繋がりや釣りとの結びつきを示すモノとしての食卓を改めて見据えています。

そんな、2巻分以降も目が離せないスローループへの展望がもう1つ。

個人的には小春父とひより母が交わす言葉ももっと見たいと思っています。先述の「親側の描写ってある?」という問い掛けで、本当にボクが欲しかったのってそういう部分なんですよね。ひよりも小春もまだ慣れない生活をしている中でそういった描写を簡単に見せるワケにいくとも思いませんが……どういった思いで2人が新しい家庭を持とうとしたのか、これは家族物語の側面を強く持つスローループの根幹とも言えるハズですし、ぜひぜひ小出しにしてほしい。

終わりに

これほど素敵な作品が数巻で終わることになってほしくないので興味をもった方、ぜひ購入してご覧ください。
下記のインタビューでも語られている通り、本作は釣りをやっている人もそうでない人も楽しめるハズです。
【インタビュー】『スローループ』うちのまいこ「釣りに興味がない人でも読める釣りマンガを」|コミスペ!

ところで、肝心の釣り部分の詳細についてはあんまり触れてきませんでしたが……ごめんなさい。

小5の頃一度ルアーで湖釣りをやっただけの人間にはまだまだよく分からん!!!

Written on March 12, 2019