『大家さん』は最終兵器

きららの系譜を辿ったような、主として和みを重視する作品を多く愛好しながら、実態はそこに潜む謎の部分を突き詰めようとしてしまう。
そんな自分が別ベクトルから愛好する作品『大家さんは思春期!』の、今日発売になった最新6巻を読了。

相変わらずその癒し力は顕在。

わざわざ理解を促すために並べる考察の言葉はやはりこの作品に必要ない(個人談)。
そのヒーリング効果はまさしく「考えるな、感じろ」という文句が相応しい。
それまでのエピソードで撒いた大小様々なネタの数々を拾っていきつつ新しいエピソードを展開していく、水瀬先生の話作りが上手でマメな面も随所に見られ、今回も大満足。
特に麗子からチエへのプレゼントが予期せぬ事態に繋がったエピソードや、前田の上司が前田宅を訪れるエピソードは期待を遥かに越えてくる面白さだった。
アニメが終わっても特に変わらず楽しむことができたので一安心(※)。

(※) アニメ視聴者の間ではいわゆる「日常系」枠の1つとして、原作由来の安定した癒し効果のみならずこれでもかと動きを重視した作画などにより、 なかなかの賛辞で迎えられたアニメ『大家さんは思春期!』だったのだけど、個人的には割り切っていた面があった。
それは<5分という尺の短さがもたらし得る、原作に感じていたまったり感の消失><数多くの個性的なサブキャラの埋没>
前者は読者によって捉え方が異なるのでおそらく自分自身だけ問題で収まる可能性が高いが、大問題なのは後者。
2分×12話という短さを誇る映像の中でその多くのキャラを写し出すのは困難であるため、 この作品の魅力がチエに九分九厘集約されてしまうような宜しくない予想をしてしまったし、 視聴者の大半の反応を見るにその予想は的中してしまったと言って良いと思う。
もちろん5分アニメとしては大満足の出来であり、最大限に発揮された4コマらしい魅力によって、自分はこの作品の新たな見方もできるようになったのだが、 この作品ではチエの周囲の人々、即ちアパートの住人やご近所やご学友の面々がチエの一挙手一投足に対して見せる、そのリアクションたる言動まで含めて癒されるものなので、 もしアニメしか見ずにこのエントリーを読んでいる方がいるのであれば、ぜひ原作も読んでいただければとも思ったり。

Written on September 7, 2016