果てない道を一歩ずつ:『授業をはじめますっ!』各作品と全体の所感

こんなタイトルになった理由があるとするなら、これが読者視点で見る「一歩ずつ道を踏み締めてきたしょうこセンセイの軌跡」だからなのではないか。
というワケで (どういうワケ?) 少し遅くなりましたが、今回はボクも参加させていただいた『しょうこセンセイ!』ファンによる合同誌『授業をはじめますっ!』の感想を書いていきます。

今回は書きたいかと聞かれれば間違いなく書きたくもあり、反面書くのが憚られる理由があるのかと聞かれるとそれも実はいくつかあり。そんな状態がしばらく続いておりまして。
でもまあやっぱり書きたいし、これに関しては自分の行動指針に背く点もないので、仮に後悔したとしても書かないよりは書いて後悔だよな、なんて感じで。今回は割と勢い任せで簡潔に、基本一問一答みたいなノリでまとめています。
これはこれで、思い入れが強すぎるために感想が溢れてまとまらずじまいな作品なんかも多々ありましたが、何かを生み出すのにエネルギーが要求されるのならそこへ反応するにもエネルギーを要求されるのが必然と考えている (そもそもボク自身も感想を書くのにまで多大なエネルギーを消費するため、無理に感想を書く必要はないとしょっちゅう論陣を張ってきている) 身ですので、あまり気負わずにご覧ください。
尚未読の方は主催・かすとらさんのBOOTHから本合同誌をどうぞ。
また、各作品に作者の方のお名前を併記しますが、こちらについては敬称略とさせていただきたく。

表紙&裏表紙:桜レート (線画)、かすとら (@abs_tra / 塗り)

最初に一目見た時から、作品を象徴するに相応しいと感嘆の溜息を漏らすばかりです。
+x ボク自身様々な作品を好きになってきた桜レートさんと、アナログ由来の色彩感覚に定評のあるかすとらさんのコンビで仕上がった作品だと思うと、更に感慨も一入。

口絵:すろ (@kawasiro17)

ちょこんと座ってるしょうこセンセイは可愛らしくもあり、この構図だと (存在感や器量の印象まで含めて) 大きくもあり。

評論「『しょうこセンセイ!』は癒し……だけじゃない。」:岩崎いずみ (@iwasakiizumi)

全体を通した原典の長所がストレートに伝わる、導入にうってつけな正統レビュー。

イラスト『矢野さんの漫画読みたい!』:いちごむすび (@ichimusu1515)

安定の矢野さん……もさることながら、坂下さんまでが戸惑いの表情をしてるのはちょっと珍しい印象。

イラスト『自慢の娘』:ももちりん (@Momochi_Rin)

色合いから、仕草 (しょうこセンセイの頭に乗せられた継子ママの手の温度が分かる) から、表情から、全てが優しさに溢れています。

イラスト『パジャマパーティ?』:てるみす (@tellmiss)

小夜ちゃん奈央ちゃんがしょうこセンセイを巡って散らす火花が見える……気がする (主に奈央ちゃんの口元から) 。

イラスト:つきみしの (@otsukimi_ofuton)

絵じゃないと絶対に成り立たない、プリクラって着想が綺麗に収まっていて素敵 (文章畑並の感想)。

評論『自身がまず誰よりも〜』:とーます・らむだきー (@s6jrmany)

拙文です。長いのでタイトルは省略。自分のやつですし、作品に該当するモノとは趣きが異なりますからね。
位置づけとしては「読者視点で見るしょうこセンセイの本質」くらいがちょうどよいでしょうか。
+x ちなみにここで使われている、ボク自身もイチオシな21話のお祭りスタイルしょうこセンセイ。原版はC99で頒布されており、現在自分の手元にある物なのですが、主催のかすとらさんがデジタル取り込みしてあったものを改めて載せてくださいました。これについてもこの場で深謝を。

イラスト:くりすしほ (@kurisu_siho)

「可愛い」より「キュート」という表現のほうが似合う気がする、原版の色合いも気になるイラスト。

イラスト:SHIKISO (@si_ki_so)

ふと目が合った時のしょうこセンセイが、こんなつぶらな瞳で相手を見ていたらと思ってグッとくる可愛さ。

漫画:こうつきりん (@rin3220105)

皆愛おしい中で、安定の矢野さんと安定のローゼス姐さんにクスッときます。
+x 拙文の記述と重なる部分 (P16-6) があってとても嬉しいし、誰よりも真っ先にしょうこセンセイを慕い始めた坂下さんがそれを言ってくれたのがもっと嬉しい。

イラスト『retrial angle』:横尾ツナ (@tpskr616)

相手を思いやり、そして魅きつけるしょうこセンセイの魅力は、きっといつまでも変わらないなと感じる。

イラスト『ぶれーめんマーチを視聴する翔子先生と矢野さん』:(@minayuta)

安定の矢野さん……ですがこうして2人ちょこんと座っていたら、やっぱり可愛いんだよなあと思えてきたり。

イラスト:TOPON (@TOPON_1)

浴衣に白衣も乙なもの、ひょっとすると2年目以降のお祭りではこういう装いもしていたのかも。

イラスト:桃月玖 (@dragouza)

まさに皆のアイドルなしょうこセンセイに、そしてこの継子ママは……矢野さんとウマが合いそう。

イラスト『絵本作家』:閑咲あめ (@ametie_k3ki_)

絵本に縁のある坂下さんと改めて交流するこれ自体も、絵本の表紙になりそうな、絵になる色使いと細やかさのイラスト。

イラスト『理科準備室』:シェルナ (@Animitators)

アナログ!モノクロ!という感じ (表現としてではなく1つの絵として) が精細な光景をより強く印象づけてくれると同時に、物理的に色褪せたとしても思い出としては決して色褪せない実感を与えていて素敵。
+x 個人的に最も独自性が際立っていると感じた作品。合同誌全体が引き締まったのを感じます。

イラスト:ねこざとう (@Cat_of_Sugar)

微睡む3人の天使と隅々まで敷き詰められた小物の数々に『しょうこセンセイ!』の可愛さが詰め込まれているな、と。

イラスト『来月また会いましょう』:あけざみなな (@Akeza_minana377)

とても賑やかで華やかな彩りの節目を感じさせてくれる、春らしくあたたかいイラスト……の中で更に、最上さんの眼鏡の下から覗く表情に打ち抜かれました。

漫画『立花さんのちょっとムッとした照れ顔いいよね』:おたJ (@Ota_J_JT)

皆表情豊かで可愛らしい……眠りが深い気がすると言われた相場さんが寝惚け眼でクッションの話を始めたり、そっと様子を見ようとしたのに気づかれたしょうこセンセイが驚きのあまり出席簿を放り出したり、と微笑ましいポイント盛り沢山。

小説『あの日を思い出して』:宵月ありす (@Tukiusagi_Alice)

あの子にしてこの親あり、この先輩にしてその後輩あり……そういえば酒絡みは下宿先の面々が多くて親世代の飲み会が原典になかったなあ、という一抹の寂しさを埋めてもらえた気がします。

小説『しょうこセンセイとビデオレター』:Fuji (@MtFuji88997545 / 本文)、桜レート (挿絵)

ビデオレターは思いと思い出の結晶……最初から最後まで継子ママ寄りの感慨に浸れたSS。芸の細かいページ上下と挿絵も相俟って、ちょっとウルっときます。

漫画+扉絵『七年後のはじめての』:タツノコッソ (@tatunokosso)

涙して喜ぶしょうこセンセイの愛おしさはもちろん、その裏にある “みんな” のドラマまで想像したくなる。
+x もしもボクが願望での2次創作を自分に許していたら、このしょうこセンセイの制服姿のような「原典の背景上描かれないのが必然だった方向性」で物語を描きたかった。そう感じ入るほど個人的に意義ある漫画。

イラスト:おむらいす (@omurice_K)

こちらに手を降るしょうこセンセイと余市先生、そこにしょうこセンセイらしさを感じさせる背景まで加わり、そのセンセイぶりが今一度強く思い起こされてウルッときました。

イラスト:桜レート

いやーもう皆大好き、全てが愛おしい……所狭しと並ぶ数多の良い笑顔からそう感じて本当にウルッときます。
+x 個人的に最も見ることができて嬉しかった作品です。可愛い皆は只管可愛く (個人的なイチオシは野々原さんと池田さん)、カッコイイところもある皆は尚カッコよく。そして絵の端から端まできらきらに満ちていて……本当に感謝の思いでいっぱい……

イラスト『にぎやかなじかん』:ひいらぎ (@kanon_hiiragi)

何気ない日常も全てはいつの日か思い出になる……素朴な感慨を充足させてもらえて (手前のピンボケリベットが個人的にツボ)、じんわりしたりウルッときたりする作品。

イラスト:ゆいら

全てに意味を見出せるであろうし、見出したくなる白眉のイラスト。
+x この絵がこの位置にあって最高に良かった。そしてもし、生徒としてこのしょうこセンセイを目にしていたらもう号泣だろうなと感情移入。

楽曲『ふわりんまじかる行進曲』:三品湊 (@3_nmt / 曲)、かすとら (@abs_tra / 一部詞)、つきみしの (@otsukimi_ofuton / 歌)

なるほどそうなったか、とゆったり一聴。

楽曲『Beginning!』:waffle* (@_Wam_jp)

しょうこセンセイたちのちょっとドタバタで賑やかな日常の彩りになりそう。

楽曲『幸福-しあわせ-の定理』:ニラパセリ (@kinogon_05)

目を瞑って浮かんできた光景は、皆が笑顔で帰途に就く夕暮れでした。

楽曲『Fairy Form Festa!』:三品湊 (@3_mnt)

ちょうどよいノリの良さに加えタイトルもあって「文化祭で1-Aのバンド組がやってそうな曲」と即認識。
+x まああのしょうこセンセイは天使ですが、愛らしさは妖精も似たようなもの (適当)。『公式エトセトラ』以外の曲もあったって不思議じゃなかろうし、そういう聞き方をしてもっと楽しい気分に。

評論『しょうこセンセイと教育について』:はかり (@mg_toHKR)

しょうこセンセイの行動理念における根幹へ迫る名文。
+x しょうこセンセイの過去を踏まえ、今を見据え、未来を臨む、その流れが本当に鮮やかで美しい。もちろん内容も込みでこれ以上ない総括と言う他ないでしょう。とりわけ第3項「教育の還元について」は本考察の真髄。

イラスト『はずかしいけど』:かすとら (@abs_tra)

しょうこセンセイが担任だったから皆変わってきたんだよなあ、という感動を、24話における象徴的な場面を引用した構図とそれに相応しい鮮やかな塗りで味わえました。
+x 思えば加藤さんに限らず立花さんのケースもそうですが、行動に影響を与えた相手 (坂下さんや矢野さん) が更に他者へと影響を与えるまでになったのは、これもしょうこセンセイの魅力の傍証と言えそう。

終わりに

一通り読み終えた後、改めて表紙と裏表紙に目を戻した時の万感たるや。既読の方ならばきっと同じ思いを抱いているハズ……と確信しています。これこそが本作『しょうこセンセイ!』の優れたる証と言えましょう。
写真を用いた演出としては、原典2巻の書き下ろしも同様の構図でしたが、こういった描写を早期から実現させるには、読者へそれだけ高密度にディティールを開示しておく必要があります。基礎の基礎でありつつ実は突き詰めるほど難しく、往々にして見過ごされたり軽んじられたりしがちなこのポイントを、『しょうこセンセイ!』は客観的に見ても充分押さえているからこそ、ボク自身も敢えて平易でプリミティブな観点から論じるに至りました。
未読の方が一読する時に、既読の方が再読する際に、この文章が役立てられてこそ筆を取った本懐が果たされるというものです。

……そう!そういえば!今回うっかりこの本懐について合同誌の中で書き忘れていたんです!
2次創作を始めとしたファン活動は須らく原典の魅力を伝える一助となるモノであるべき、と常に心しながら続けてきたにも拘わらず。
これは我ながら割と大きな失態の部類。なので最後に、ここで改めて明言しておきます。
拙文やこの合同誌をきっかけとして、未読の方が原典を手に取ったり、既読の方が改めて原典を再読したりし、その魅力をより深く感じ取ってくださいますよう願っています。

大事なことなのでもう一度。
拙文やこの合同誌をきっかけとして、未読の方が原典を手に取ったり、既読の方が改めて原典を再読したりし、その魅力をより深く感じ取ってくださいますように。

Written on November 1, 2021