サンソフトとコナミから学ぶ厚いベース音の重要性

『ラフワールド』『へべれけ』『ギミック!』……
この辺りはFCの性能を限界まで引き出せるようになったFC後期において、とりわけFCらしからぬ音色をBGMとして奏でていたサンソフト開発のタイトルです。
『ギミック!』は拡張音源 Sunsoft5B を積んでいるのもありますが、それを抜きにして尚 (例えば海外版FCであるNESは仕様上ソフト側に拡張音源を積めず、海外版の”Mr. Gimmick”も同様に拡張音源を積んでいません) 、これらはFCタイトルでも有数の楽曲を実現しています。
その秘密はDPCM (粗いサンプリング音が出せるチャネル) を主にベースへと当てていること。FM音源のようなシンセベースを用いることで、音に重厚さを与えているのです。

……この最後の部分が重要で、ベース音の厚みが(より後の世代におけるハードと比べて)チープなFC音源をリッチ感溢れるサウンドへ押し上げているのだと、チップチューンを作曲するようになったボク自身、改めてそれらの曲を聞きながら強く認識するようになりました。
その理解を更に後押ししたのがコナミの拡張音源 VRC6 を採用したタイトル (ex. 『悪魔城伝説』) 。こちらは単純明快で、扱える音数が増えたためベース音に当てるチャネルをも増やせ、結果厚みのあるベースを実現した楽曲が揃っています。

他にも基本の4音を掛け合わせて各パートの音を厚くする手法をいくつか知り、それらを結集して既存の自作曲をパワーアップさせたアレンジを作ってみました。
DPCMすら用いていなかった曲に、通常ノイズで賄える音をサンプリングして混ぜてみたり、初めて真面に拡張音源パートを使ったり。
三角波でベース、キック、スネアを全て賄っていたところへVRC6のノコギリ波をベースとして重ねたりするなどでも、かなり音が厚くなるようです。
チップチューンは音数と駆け引きをしながら、様々な役割を各チャネルに分配して作るモノなんだな、と改めて強く思うところ。
非常に楽しみつつ、また1つ良い知見を得られた気がします。

Written on July 13, 2021