月日を経ても皆に囲まれて:『しょうこセンセイ!』39話
直近数話で起こった事件に次ぐ事件も、前回で一通り解決した『しょうこセンセイ!』。
寂しさと期待を胸に、これまで通り背筋を伸ばして読み進めていきました。
実はボク自身(や近しい読者の一部にも)、今話がいったいどんなエピソードになるかについての展望があったりして。
というのも、37話でテーマの1つとして掲げられていたのは「進路」。これを踏まえて、一区切りには少し未来の話が来てもらいたい、と考えていたところで。
その見通し自体は、結果的にドンピシャ。その上でもちろん予想できなかった部分が大半を占め、かつ『しょうこセンセイ!』の物語はこういうところが好きなんだと、一読者として感じ入る楽しいエピソードでした。
まだまだ寂しさも抜け切ってはいませんが、それ以上の満足感と共に今回も感想を書いていく所存。
7年後の『しょうこセンセイ!』における1話
1話を思い起こす展開も多分に見られたこの39話は、端的に言えばこういう表現が相応しいのではないかと。
思い返すと1話も、新入生だった生徒たちの前に立つしょうこセンセイの姿から始まったワケです。
「身長が低すぎて生徒から年齢1、2歳低く間違わ」れてた……などなど、実際先生としてやっていけるのかと悪戦苦闘していましたね。
それを振り返ると、まだまだ可愛い盛りな16歳の若さながら、ある種貫禄とも言えるオーラはたっぷり。
継子さんのような破天荒さこそないものの、度量と器量の大きさが窺えます。話も生徒のペースに合わせられる余裕まで。
お母さん譲りの要素と、余市先生や山田先生たちから学び取った親しみやすい先生らしさ。それらをまるっと兼ね備えているように感じられました。
それでいてミッシェルLOVEな辺りなんかは変わらず。こういう面ではやっぱり、しょうこセンセイはしょうこセンセイのようです。もう胸がいっぱい。
先生が先生なら生徒たちも生徒たち、7年前の1-Aにも引けを取らない個性派が揃ってます。そしてやっぱり例に漏れず、皆活き活きしてる。
初日から小競り合いが起こるとは賑やかなもんですね。正統派ヤンキーっぽい口調の子が個人的に気になるポイント。
小夜ちゃん奈央ちゃんもこのクラスになったとは。P72-1で隣の生徒を怯ませるほど勢いを見せる小夜ちゃんに、姉である坂下さんの面影を感じてまた胸がいっぱい。
そして言うまでもなくこのエピソードでしょうこセンセイと並ぶ主人公、久坂先生の存在は外せません。生徒に気圧された時のテンパり具合は当時のしょうこセンセイすら越えてそう。23歳とのことですが誕生日が早いのか、それともストレートで大学を出ていないのか、はたまた1年のスパンを経て教員採用されたのか。最後のケースだと個人的に想像が捗ります(実際の現場でも免許取得から本採用まで数年空く先生が多いことですし)。
それでいて、しょうこセンセイと似ている部分もあると評された久坂先生。この流れの最中にあるP74-6には、35話でも見られたボクの好きな場面をも思い起こさせられました。
加えてそんな久坂先生に先生としての在り方を教授するしょうこセンセイが、また貫禄を感じさせます。しょうこセンセイ自身が(本を活用しつつ)生徒との接し方を模索した分、説得力もバッチリ。
これが7年経過した『しょうこセンセイ!』か、と感慨も一入。
身長がどれだけ変わったかもちょっと気になりつつ、本当に大きくなったんですね。
7年の間もしょうこセンセイと共にあり続けた人たち
変わったこともあれば、変わらないこともある。
前述した余市先生や山田先生は、相変わらず皐月高校にいるようですね。公立高校であることを考えれば7年の期間はそれなりに在席年数として長いほうですし、最も話しやすい同僚教師の2人がずっといてくれたのはしょうこセンセイにとっても支えとなったことでしょう。
2人とも7年で少しだけ丸くなった……?とも思わせつつ、良い意味であんまり変わってはいない様子。あと余市先生が行き遅れていないか気になる。
一方帰れば旧友の2人もいて。
こちらは両者とも、変わっていないようで結構変わっている印象を受けました。リベットは装いもあってか佇まいが落ち着いたように感じたり、ローゼス姐さんは服装も言動も変わっていないようでP75-2の表情に穏やかさが見えた気がしたり(ボクは本当にこの3人を、とりわけ姐さんを気に入ってるようです)。
この2人も皐月高校に在席中。とは言え非常勤であることから、山田先生や余市先生よりは融通が利く立場なのでしょう。特に(登場の機がなかった)校長先生が未だに井伊校長だったなら、おそらくは彼女の配慮がありそう。
そして継子さんと、研究所の様子も相変わらず。何やってんだサクラバ所長
短いですがこの場面も本当にグッときます。お互い見守る対象をも得たしょうこセンセイは、継子さんとこうして対等な話もできるようになったんですね。
まさに、色々変わりつつ変わらないところは変わらない楽しい日常。
癒し成分もまた、これまで同様健在でした。
終わらないしょうこセンセイ
しょうこセンセイの力添えも手伝い、紆余曲折ありながら先生として受け止められた久坂先生。
そしてこのサブタイですよ。新たな1-Aの日常は続いていく。
ラストのしょうこセンセイの言葉も、色々な意味で感慨深い。
この辺はこれまでのエピソードがあった結果ですから、無用に語るまでもないでしょう。
しょうこセンセイ、本当にありがとう。
7年前のお話と残された想像の余地
さて。
ボク自身、今回も7年前の1-Aメンバーを是非見たかったという思いがありました。
というのも、冒頭で書いたように進路というテーマが先んじて提起されていたからこそ、39話はしょうこセンセイたちの少し未来が描かれてほしいと感じていた部分がありました。
ここには続きがあり、ボク自身勝手ながら「旧1-Aのメンバーがどんな進路を選択したか、同窓会に類するシークエンスで見れたら……」なんて願望があったりしたもので。
結果としてはアルバムによる言及に留まりましたが、やはり主人公はしょうこセンセイ。物語の中心であるワケです。
しょうこセンセイの未来が存分に見られた中で、しょうこセンセイが生徒たちの思い出にも触れられたのは、それだけで何より尊べることでしょう。
そしてそう思ったとき、もしかしたら扉絵もアルバムの中の1枚だったのかな、なんて想像もしてみたり。
実際どうかはさておいて、この扉絵がより一層輝いて見えました。
また、想像と言えば『しょうこセンセイ!』、作中で語られない事項がまだまだありましたね。
最も大きいのはやはり、しょうこセンセイの父親についてでしょう。32話の感想では「父親の行方が(しょうこセンセイの)早熟ぶりを決定づけた」のではないかとボク自身語っていました。
39のエピソードでは本筋にならなかったこの件、やはり物語の重要な背景として気になるところ。
他にも詳しく描かれなかった生徒や先生の存在、研究所の事情などなど、これらはボク自身のスタンスにも照らし合わせながら想像を楽しむこととしましょうか。
最後に
本作『しょうこセンセイ!』については、この先もボク自身ファンとしてやりたいことが色々とあったり。
従ってひとまずは、そちらにも力を注ぐつもりです。
改めてしょうこセンセイと皆さん、それからなじみ先生、お疲れさまでした。
そしてありがとうございました。