一万里の道も一歩から、皆と一緒に「前を向く」:『しょうこセンセイ!』2巻
弱冠8歳にして高校教諭な女の子が過ごす、生徒との日々。
先生としての日々。
同世代の友達との日々。
下宿先での日々。
全てを成長の糧にして、彼女は一歩一歩進んでいく。
それが『しょうこセンセイ!』だ!
まんがタイムきららMAXで連載中、今日5月27日に2巻が発売された本作。
今回はこちらの感想&レビュー記事を、改めて布教も兼ねた上でつらつら書いていきます。
しょうこセンセイ! (1) - Amazon
しょうこセンセイ! (2) - Amazon
しょうこセンセイ! - きららベース (←9話まで読めます)
なお、1巻感想記事同様に主人公である吉田翔子の呼称は「しょうこセンセイ」として表記します。
一方「『しょうこセンセイ!』」と書かれていたら、そちらは作品全体を示しているとご判断ください。
主人公をこう呼び出した理由は1巻感想記事に記述してありますが、この呼び名は2巻でもまた折に触れて意味をもってきます。
ここに絡んでくるのは「一万里」……伊能忠敬が測量のために55歳から72歳までの間踏み締めた歩数を、尺貫法に置き換えた距離です。そういえばこれ、確か地球の赤道長すら越えてるんじゃなかったっけ。いくら何でも遠すぎる
書き下ろしについて
いきなりですが、ボクは2巻冒頭の書き下ろしを見て早速ちょっと涙腺をやられました。
この書き下ろしは登場人物をおさらいする役割を担っていると同時に、しょうこセンセイたちの日常を見守る読者に向けられたサプライズでもあるんだな、と。
1巻、2巻とエピソードの累積に比例し広がりを見せてきた、しょうこセンセイを取り巻く人間関係。それがこの冒頭で、アルバムのようにまとめられた写真として振り返られます。
単行本でご覧になっている方は、ぜひ2巻を一周読み終わってから再度書き下ろしに戻ってみてはいかがでしょうか。毎月本作を追いかけている読者と同じ感動が追体験できる、と一読者ながら自信をもって述べさせていただきます。
また「『しょうこセンセイ!』読んだことないんだよな……」って方向けには、作者・なじみ先生による登場人物紹介へのリンクを代替として以下に載せておきますのでどうぞ。1巻発売時期なので紹介されていない人物もいますが、未読の方には参考になるかと。しょうこセンセイに限らず、気になる子を入口として本作を読んでいただけたら、2巻を終えて冒頭の書き下ろしに戻る頃には皆が愛おしく、そして入口となった子はもっと愛おしく感じられるハズです。
しょうこセンセイ!キャラ一覧 https://twitter.com/i/moments/1138797309481762818
かく言うボクも後程、この箇所に関しては改めて色々と所感を書く所存。
しょうこセンセイが積み重ねる日常
諸事情で海外に出向いた母・継子さんとの別離を経て、様々な面で一区切りを迎えたしょうこセンセイ。
その活躍は2巻でも、1000000%の癒しと共に堪能できます。
運動の苦手な生徒が消極的な姿勢を見せれば、隣に立って一緒に奮闘したり。
小学生の友達が算数の宿題を放り出そうとすれば、四苦八苦しながら相手に合わせて教えたり。
着衣水泳の講習や夏祭りでは生徒を見守りながらちょっと羽目を外したりするつもりがはっちゃけすぎて他の先生から大目玉を食らったり。
困り事の相談を受ければ二つ返事で応じ、場合に拠っては手を差し延べ協力する。
抜けたところもあれど、それでも周囲からの信頼は揺るがない。
それだけの頑張りを見せてもくれる先生・しょうこセンセイがここにいる。
しかしこうして読み返していても、↑このしょうこセンセイは髪型チェンジまで含めて可愛い。
この回はしかもそれだけでなく、しょうこセンセイが(天才であることを差し引いて考えても)そんじょそこらの女の子とは一線を画す、いかに際立った人物であるかを端的に窺える回でもあります。
1巻以上に多彩な表情を見せてくれるようになったしょうこセンセイですが、中でもこのエピソードは感想を個別記事としてブログに書いたほど、個人的イチオシ。
しょうこセンセイが遂げていく成長
ともすれば読者にとっては、笑顔や癒しになり得るしょうこセンセイの欠点。
ですがしょうこセンセイや周りの皆は、きちんとそれらも改めるべきポイントと捉えて歩を進めていきます。
とりわけ1巻の頃から幾度となく見せてきた、一旦考え込むと脇目も振らずそれに没頭してひとり言を垂れ流す姿(一部読者はこれを「ゾーン」と呼んでいたり)。
学生時代からの旧友であり、皐月高校の同僚教諭でもあるフォア・ローゼスは、しょうこセンセイのそんな姿をある程度肯定する他方、もっと視野を広げてみてもいいのではないかと助言をしました。
結果的にその助言は功を奏し、しょうこセンセイはまた先生として一段階ステップアップしていきます。
そしてそこには、皐月高校への赴任によって出会い、それまで一緒に時間を過ごしてきた人たちの優しい言葉も。
教師が板についてきた、としょうこセンセイを労う余市先生。
しょうこセンセイに凄まじい勢いでブッ刺さる言葉を忌憚なく投げつけたこともある小夜ちゃんや、そんなしょうこセンセイを「お姉ちゃん」と呼び慕う奈央ちゃんと、上司としてしょうこセンセイの頑張りを見つめる井伊校長。
ムードメーカー筆頭の坂下さんを始め、しょうこセンセイのお世話になったり、逆に時々お世話したりもしてきたクラスの生徒たち。
様々な人たちに背中を押されて歩いていくしょうこセンセイの目指すところ――遥か先にある目標とそこへの道が具体性を帯びていくのもこの巻です。
「伊能忠敬が測量で歩いた距離」を物ともせず、皆と一緒に前を向くしょうこセンセイ。
その姿には本当に鼓舞されるし、応援したくなる。
これが『しょうこセンセイ!』だ!!! (2回目)
興味をもたれた方、ぜひお手に取ってはいかがでしょうか。
書き下ろしについてリトライ:しょうこセンセイと共に歩む人々
さて、ここからネタバレが入ります。2巻をご覧になった方はぜひご一緒にいってみましょう。
写真1枚目、坂下さん。カメラ目前で元気いっぱいなピース。最上さんは眼鏡の向こうで目を輝かせてピースしてそう。佐々木さんは照れ臭そうにそっぽ向いて、でもやっぱりピース。その愛おしさがこっちにブッ刺さりました。
2枚目。相変わらずしょうこセンセイへのラブっぷりが安定して飛び抜けてる矢野さん。その横でちょっと引き気味ながら側を離れない加藤さんも可愛い。立花さんはもう完全に矢野さんのペースにも慣れたのかな、これまた愛おしい。
3枚目、手芸部員と料理研究部員で家庭的トリオ。こちらも安定してグースカ昼寝してる相場さんと、それを仲良く見守る池田さん宮古さんがウマ合ってますね。
4枚目、クラスのバンドメンバーから3人。ハッスルしてる結さんにガッツポーズ決めてる四宮さん、そしてその間にひょっこり顔出す形の野々原さん。野々原さんは20話(初登場回)で新たにメンバーとして選抜されましたね。ちゃんと馴染めてるんだなあ。
5枚目、生徒会の2トップ。しょうこセンセイの担当とは学年が違うのでまだまだ描写は少なめですが、それでも存在感は抜群な2人です。藤堂会長は目を開くと特に。あと永倉副会長は確か初カラーかな?(碧色好き)
6枚目。読めば読むほど説明不要な学友コンビ……もといトリオ。24話と26話でちょこっとだけ出てきたグレン・リベットなる人物が、3巻以降はここに加わりそうですね(というか言ってしまえば27話でもうがっつり出てる)。吉田家含めて気が置けない関係のようで、トリオ描写も本当に楽しみ。
7枚目、先生トリオ。何だかんだで大人らしい佇まいの山田先生余市先生と、全く対照的に慌てふためく宮城先生のギャップよ。そういえば先生陣からも20話でまた新たな名前が出てきていますし、こちらもまた次巻ではより賑やかになっていきそう。
8枚目、親世代の仲良しトリオ。破天荒(校)長だったピースの似合う継子さんに、どちらかと言えば大人びて落ち着きある井伊校長の無骨がちピースが可愛い。そしてその2人を見つめるのは松下村塾大家さんの玉木さん、一番母性が強く見える。
9枚目、松下村塾の下宿組トリオ。14話からして飲み仲間感満点でしたが、中でも佐久間さんは山田余市コンビと同級生なのもあって出番にも恵まれてましたね。17話とかめっちゃ腹抱えて笑ってた。
10枚目。珍しく言い合いみたいになってる小夜ちゃんと奈央ちゃんを傍目に困り顔のしょうこセンセイ。かわいい。この2人、しょうこセンセイが2巻通して成長する上で果たした役割はローゼス姐さんにも引けを取らないと個人的に思っています。
こうして振り返るとしょうこセンセイは色んな人たちに囲まれてもいますね。
これからもそんな皆の姿を、見守っていきたい。